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今週の風の詩

第3926号 20年越しの手紙の返事(2024.5.12)

20年越しの手紙の返事
りか(ペンネーム)

母の誕生日が迫っていた。今年は何を贈ろうか。

病気を患った母は、上手に歩けなくなってきていた。久しぶりに会った時、以前より歩きにくそうにしていた。孫の顔を見せてあげられるのも、あと何回くらいだろうか。その時ふと、20年前にもらった手紙を思い出した。

それは、私が中学生の時。ある授業で、生徒には秘密で母親が書いた手紙を渡される時間があった。
「生まれてきてくれてありがとう」と、愛情こもった手紙がしたためられていた。感動した私は号泣。クラスのみんなも泣いていて、手紙の返事を書く時間が設けられた。返事の手紙には、産んでくれたことへの感謝をたくさん詰め込んだ。

だが、日にちが経つに連れて恥ずかしくなっていき、遂に私は手紙を渡すことなく捨ててしまったのだ。
それからというもの、あの渡せなかった手紙が心残りになっていたのであった。

そんなことを思い出し、20年経って私も子どもが生まれた今、母の誕生日にあの時の返事を書くことにした。
「お母さん、生んでくれてありがとう。息子を育てる中で、お母さんの優しさを思い出す毎日です。お母さんからもらった愛情を、これからも息子に注いでいきます。」と。

母は無事誕生日を迎え、手紙を読んでくれた。胸がいっぱいになり、とても感動してくれた様子だった。
20年越しに、あの時言えなかったありがとうを、伝えられて良かった。

身近な人への感謝は、いつでも伝えられると思っていると、先延ばしになってしまう。そして遂には、伝えられないまま別れがくる可能性だってある。そんな思いはしたくない。
そして、これを読んでいるみなさんにもして欲しくない。すぐにでもペンを取り、身近な大切な人へ感謝の気持ちを伝えてはどうだろうか。
「ありがとう」のその一言は、相手の心もあなたの心も温かくする、壮大なエネルギーを秘めているのだから。

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