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今週の風の詩

第3972号 ベランダの静かな同居人(2025.3.30)

ベランダの静かな同居人
いぬいしろ(ペンネーム)

昨年秋から仕事の都合で地元を離れ、一人暮らしを始めた。
自由が増えた反面、さみしさを感じることも多い。

そんななか仕事の関係でチューリップの球根をいただき、初めてチューリップを育てることにした。
球根は30個ほどあり、私の賃貸では育てきれないため、実家の両親と姉夫婦と分けてそれぞれの家で育てることにした。

チューリップは、寒いうちに球根を植えて、たくさんの水を与えることで春に花を咲かす。
芽吹く日を楽しみに水やりを続けた。

そんなある日、小さな小さな芽が出ていることに気がついた。
姉の家でも同じように芽が出て、少し遅れて実家の庭でも芽が出た。
それぞれの家の赤ちゃんのような芽の写真を送り合った。

毎朝の水やりは、チューリップの成長を確認するだけでなく、その日の天気のこと、春が近づいていること、離れて住む両親や姉のことを考える心穏やかな時間になった。

出張などで数日家を空けたときは、帰ると真っ先にベランダのカーテンをあける。
すくすく成長しているチューリップたちを見ると、あたたかく豊かに気持ちになる。

新生活を始める方が多いこの時期、寂しさを感じる方は、植物を育ててみるのはいかがだろうか?
ベランダの静かな同居人は、静かに寄り添い、新しい季節を届けてくれる。




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