今週の風の詩
第3958号 あたたかいブランケット(2024.12.22)
我が家の押入れには、何枚もブランケットが仕舞ってある。
8歳と2歳の2人の息子は、厚着を嫌う。冬でも下着一枚でソファーに座って「寒いー。なんかかけて」と言う。
そうすると私はブランケットを出してきて、くるっと包んでやる。子どもたちはほっとしたような顔をして「ありがとう」と言う。
本当はきちんと洋服を着てもらいたいのだけれど、子どもたちにとってはこっちの方が嬉しいみたいだ。
化繊のふわふわしたブランケット、ウール生地の毛布から作られたブランケット、毛糸の手編みのブランケット。生地も大きさも様々なブランケット。これらのブランケットは、私が買ったものではない。
私たち家族は、私の実家の隣に住んでいる。
子どもたちは私の両親が大好きで、よく家に遊びに行く。私も一緒に行ってはおしゃべりをしたり、お茶を飲んだりして帰ってくる。
「そろそろ帰ろうか」と玄関に向かうと、母は子どもたちの薄着を心配する。「外に出るのに、そんな格好じゃ冷えちゃうわ」そう言って、二人にブランケットをかけてくれる。
「ありがとう、後で返すね」と言うと「返さなくていいわよ」と言ってくれる。
これはウールでしっかりしているから、これは手編みで特別あたたかいから、これはジャブジャブお洗濯できて便利だから…
「小さい子がいるとね、何かと必要よ」とブランケットを渡してくれる。
実家の玄関から我が家の玄関まで20歩ほど。その間の寒さを心配して、母が息子たちにかけてくれたブランケット。これまで何度もそういうことがあって、それらが我が家の押入れに仕舞われている。
母の優しさを感じながら、私も息子たちに、そのあたたかいブランケットをかけている。