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今週の風の詩

第3943号 糸絵の具の楽しみ(2024.9.8)

糸絵の具の楽しみ
池田 朋美


 六年前の秋の日、庭に出ていた私は、布団を取り込む隣りのおば様からベランダ
越しに声をかけていただき、久らくの間あれこれとお喋りを楽しんだ。子ども達も成人し、子育てを終えた時期だった。おば様が仰った。「お仲間と楽しむ趣味以外に、自分一人で楽しむことができる趣味を持つといいよ。」と。見事に背中を押していただいた気がした。
以前から刺しゅうをゆっくり時間をかけて楽しんでみたいと思いながら幾年も経っていた。
 今、毎日のように就寝前の二時間程を刺しゅう時間にあて、三~四ヵ月も一つのペースで作品を仕上げている。今年で六年目。いろいろなステッチの仕方がある中で、図案を見ながら糸をクロスして絵を描いていくクロスステッチが特に好き。私は刺しゅう糸を、糸絵の具と呼んでいる。糸絵の具で仕上げた絵を、額装してもらい、よそ行き姿にお洒落した作品を部屋に飾ることがとても嬉しいこと。刺しゅうの良いところは、それ程場所をとらず、家族と語らいながら作業できること。時にはラジオを聴きながら。現在夫婦二人暮らしになって四年目。夜、刺しゅうをしながら、夫と静かに穏やかに話しながら針を持つ時間がかけがえのないものに思える。また手仕事はまとまりのない心の中を、いつのまにか整理整頓してくれる。心がととのい、ぐっすりと安眠できる。
 絶妙なタイミングで、すとんと腑に落ちる言葉をかけて下さったお隣のおば様に感謝する日々。これからも眼を労わりながら、一日でも長く好きな刺しゅうを楽しもう。

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