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今週の風の詩

第3959号 私たちの誕生日(2024.12.29)

私たちの誕生日
匿名

私の母は正真正銘の1月1日生まれ。
祖母に「昔は、正月のほうが縁起がいい、数え年だと可哀想と言って日付を大雑把にして届け出る人も多かったけど、私は本当にとっても寒い元旦にあなたのお母さんを産んだんだから!」と何度も聞かされた。
そんな私は12月26日生まれ。
小学生の頃「クリスマスの次の日だと、ケーキやプレゼントをまとめられたりしない?」と友達に言われてびっくりした。母は必ずケーキを2つ、プレゼントも2つ用意してくれていたからだ。
どうしてまとめなかったのか聞いてみると、母は「自分の子どもには同じ思いをさせたくなかったから」と答えた。
母の誕生日は、いつもケーキの代わりにお節、プレゼントの代わりにお年玉だったそう。
物がない時代、三人きょうだいだったから仕方ないとは思うけれど、きっと毎年悲しい気持ちだったに違いない。
そんな思いを繰り返さないように……母は私の誕生日祝いをまとめずにいてくれたのだ。
母の深い愛情を感じ、毎年その時期は幸せな気持ちでケーキをぱくぱく食べていた。
私も働くようになってからは、お節と一緒にケーキとささやかなプレゼントも用意できるようになった。

時は経ち、私もいい歳になり、母も少しずつ老いてきた。
「そろそろ、きついよねえ」「そうだね」
12月末にケーキ2つ、1月1日にケーキ1つ、完食するのが難しくなった私たちである。
これも人生。これからは母と私のケーキをまとめようか、と考えている。

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