第 3869号2023.04.09
「桃農家のひとり言」一宮 太郎(ペンネーム)
ひとり言 いつもの様に春が来た、山梨の4月ともなればいよいよ桃農家が忙しくなって くる。私は勤め仕事をしているが親から譲ってもらった土地に、その親の代 から続く桃栽培を受け継いで勤めの傍らで農業をしている。 会社に勤めているからと言って手を抜いているつもりはない。季節になれば 花が咲くので摘蕾、その後の摘花、更には摘果や袋かけなどなど…仕事の 工程を言えばきりがない。やっと一息つくのは9月頃、それまでの半年は本当に 忙しい、でもそれを終えると、あ今年も無事に桃農家をやったなあと…実感が わく。もちろん忙しくて辛い時期もある、でも食べた人においしいと言って もらえれば丹精込めて作った価値があったと思える。辛かった気持ちはすっかり 忘れてしまう。毎年毎年その繰り返しだ。 今年の桃の摘蕾には東京から2人、同じ県内で八ヶ岳の麓から5人の高齢の助っ人 が来てくれた。この助っ人とは「猫の手クラブ」といって勤めをリタイアした 体力に自信がある知人たちである。知人が桃畑を手伝おうと仲間に呼びかけて 「猫の手クラブ」が出来た。当初は若かった猫の手のメンバーも高齢化が激しい。 追い打ちをかけたのがコロナだ。メンバーの入れ替わりはあるものの20年前くらい から活躍してもらってとても助かる。総勢20人くらいのメンバーだったが、コロナ 以降は、若い60才代で近所にお住いのメンバーに限って来てもらっている。 やはりこの猫の手メンバーと話しながらの作業は楽しい。一人で黙々と作業する よりは…。先日は7人が来てくれた、春の野菜のお土産付きで帰ってもらった。 これからは摘果も袋かけも待っている。またこの夏場の天気も気にしながら 猫の手メンバーと楽しく笑いながら作業が出来ると良いな…。