第 3858号2023.01.22
「おしゃれ」
あやこ(ペンネーム)
世の中にはおしゃれな人が、たくさんいる。 『おしゃれ』をするのが好きな人が、うらやましい。 わたしは、というと、楽な服と楽な靴と楽な髪形に埋没して しまって、そこから脱出することができない。 「だれも見てないし」「だれかに会うわけでもないし」 先日、大学生の姪っ子が我が家に遊びに来た。 すらっとした長い手足にまとった、今風の素敵なお洋服。 そして、涼しげな顔立ちに、さりげないお化粧が映えている。 髪もこのうえなく真っ直ぐで、つやつやだ。 ああ・・・まぶしい姪っ子。 思わずため息が出た。 輝いている。 お天気がよかったので、一緒に、近所をぷらぷらと散歩した。 気づくとヒールのある靴を履いていた姪っ子は、足が痛そうだ。 「うちに来るのに、そんなにおしゃれしちゃってさ~。もっと 楽な靴で来たらよかったね 。」姪っ子が笑顔で振り返って、 言った。「おしゃれはね、誰かのためではないの。 それに、必ずしも楽ではないけど、おしゃれって、そういうこと でもあると思うの。」わたしより、ずっと後から世の中に出てきた 姪っ子に、わたしは『おしゃれ』の本質を教えてもらった気がした。 姪っ子が帰ったあと、クローゼットを開けて、色のきれいな服を、 出してみた。 「あるじゃない。わたしも・・・素敵な服。」 姪っ子の訪問は、わたしのおしゃれ再スタートのきっかけとなった。