第 3857号2023.01.15
「お祈りメールに負けないで」
もう(ペンネーム)
「ご期待に添えず..ご活躍をお祈りします。」就職活動のお祈りメール、 即ち、不採用通知。受信する度に心身折れていく娘。不眠が続き、顔色は 白く、眼はうつろ。黒の就活スーツはくたびれて、ウエストも緩くなった。 パンプスも皺が目立ち、ヒールに傷がついている。 就活にこれほど心身削られるものとは想定外であった。説明会参加、 エントリーシート提出、筆記試験、適性検査、グループワーク、一次、二次、 最終面接。各段階、短い時間の中、インパクトを残し、精一杯自分をアピールする。 結果、どう振り落とされたのか。お祝いメールを受信して、自分の学歴、 これまでの人生、人格、人間性を否定されたように感じて折れていく。 自分の持つ個性、長所も短所にも「自信を持って」、これまで進む道を 自分で決めて歩んできたこと、経験してきたこと、頑張ってきたことに 「胸を張って」。就職はただの通過点「気楽に」、「頑張って」、「大丈夫」。 どの言葉も慰めにはなりそうもなく、声をかけられない。 いつまで続くのか。私も心身折れていく。主のいない荒れた部屋に掃除機をかけ、 残されるだろう食事を用意し、帰宅時の不機嫌に対応する心の準備をしておく日々。 と、「内定の連絡が来た。」と娘が帰宅した。よかった。 これからは、夜中に目覚めずにぐっすり眠れるだろうか。食事を美味しいと 思ってくれるだろうか。行きたがっていた寄席にも行って、思い切り笑ってほしい。 思えば、採用された所は、娘の個性が生かされる一番合っている場所のように思える。 ほっとした。私もいい勉強になった。少し成長(?)した。 意外と粘り強い娘の一面も知った。 本当に「頑張ったね」。この先もいろいろあるだろうけど、「自分を信じて」進んで。 きっと「大丈夫」。そう娘に言おう。