第 3845号2022.10.23
「配達員さんを通して学んだこと」
山極 尊子
最近、働く車が好きな息子のために、近所に働く車を見に回ってい ます。 意識してみていると、働く車は沢山あり、消防車、宅急便、 清掃車などなど、 たくさんの方々のおかげで、毎日は成り立って いるんだなと痛感させられます。 ある日、息子の好きな宅急便を見に宅配センターにいったときのこ と。 配達員のおじさんが「ご苦労様」ですと声をかけてくださいま した。 「この時期の男の子って、働く車が大好きなんですよね」と 配達員さん。 仕事のご迷惑にならないように、隅っこで自転車を止 めて、子供を抱いている私に、 わざわざ足をとめて声をかけてくだ さっただけでなく、「ご苦労様です」と言ってくださったその一言に、 私はとても嬉しくなりました。 何度か足を運ぶうちに、配達員さんたちと顔見知りになり、宅配セン ターを出発する際は、車の中から息子に手をふってくれるまでになり ました。 ある日、宅配員のおじさんが、宅急便が好きな息子のために、 ご自宅にあるミニカーをくださると言いました。 「また会えた時に渡しますね」といったのですが、その日から配達員 のおじさんは風邪で休まれたのかお見えにならなくなりました。 一週間後、やはり体調をくずされていたという配達員のおじさんは、 「すいません、遅くなりました」と言って息子にミニカーと私にお手紙 をくださいました。 お手紙には「息子さんと約束したのになかなか会え ず申し訳ありませんでした。 お子さんの気持ちを考えると辛くなり、 今日お渡しできてほっとしました。 お子さんの笑顔は家族を幸せにします。 とても嬉しい日になりました。ありがとうございます」と書かれていました。 私はこの出来事を通して、優しい人は世の中に沢山いて、配達員さんのような 日々の心がけが優しさの連鎖をうむのだと感じました。 働く車好きの息子のおかげで、その車に乗って一生懸命働く皆さんと出会えた ので、私もこれからは恥ずかしがらずに、日常を支えてくださる皆さんに大き な声で「ご苦労様です」と声掛けできる人間になりたいと思っています。