第 3830号2022.07.10
「オンライン同窓会」
野村祐司
新型コロナのせいで皆不安な日々を送っていると思う。私もご多分に漏れず 窮屈な毎日と将来の不安に何度も心が折れそうになった。でも、よくよく考え ると悪いことばかりではなく良い出来事もあった。 それはオンラインでの旧友との再会である。 大学時代にもっとも親しかった彼とは卒業以来、約20年ほど会っておらず、 年賀状のやり取りだけの関係だった。 しかし、今回の一件で人生何があるか分からないとつくづく感じたとき、彼に 会いたいという気持ちが自然と湧いてきたのだった。 思いたったら善は急げ。早速、私は山口県に住む彼に手紙を送り、今、流行の オンライン飲み会を提案したのだった。 ほどなく彼から返信があり、スマホの画面越しに久しぶりの再会を果たすこと ができた。 学生時代の馬鹿話に花を咲かせながら、あの頃と変わらぬ優しい雰囲気の彼を 目の当たりにして、私は嬉しさのあまり少し泣きそうになった。電話だとここ まで感慨はきっと生まれなかっただろう。そして、3時間ほどの飲み会が終わ ったとき、少し、だけど確実に明るく前向きな気持ちになれたのだった。 今回のコロナ禍でオンラインでのコミュニケーションが積極的に推奨されなけ れば、きっと彼とこんな風に再会することはなかっただろう。 新型コロナは有無を言わせず我々にライフスタイルの変化を迫った。たとえそ のほとんどがネガティブなものだったとしても、その変化の中にポジティブな ものを見いだせれば、それはきっと希望へと繋がるのだろう。 そう強く確信する出来事だった。