第 3809 号2022.02.13
「妻とボクの攻防戦」
ナオ君(ペンネーム)
ボクは妻から片付け魔と呼ばれている。確かにボクは綺麗好きだ。だがこっちからす れば自分はいたってノーマルで、妻の方がズボラすぎるのだ。脱いだ靴下は放り投 げ、一年後に埃まみれになってソファの下から救出されたなんてことも一度や二度で はない。妻の粗忽さは整理整頓に収まらず、洋服だって裏表、後ろ前に着てることも たびたびでボクが言うまで全く気づかない。裏表も酷いが、なぜ後ろ前の状態に気づ かないのか不思議でならない。通常なら首のあたりに違和感を覚えるものではなかろ うか。だがそんなことを指摘しても、我が妻はどこ吹く風。そんなことで死にはしな いわ、とでも言いたげに、こちらの親切心など馬耳東風。右から左へと素通りしてい く。ところが不思議なこともあるもので、たとえば何かの折に必要書類がいるとなる と、すぐに探し出せるのは妻の方。ボクは書類なども整理しファイルに収めてしまう ためか、いざという時どのファイルにしまったのか失念し、なかなか必要なものが出 てこないなんてことがよくある。その点妻は出しっぱなしが多いせいか、必要なもの がささっと見つけ出せるという寸法だ。妻曰く、「この混沌の中にあなたには分から ない整然さがあるのよ」そんな時の妻は鼻を膨らませて得意気だ。何か言い返してや りたいと思うものの、妻の言い分にも一理あり、いまだに反論できないのがもどかし い。 ああ、ボクら夫婦の攻防戦は今日も続くのであった。