第 3800 号2021.12.12
「孫の家出未遂」
相談所のジジイ(ペンネーム) )
孫の男の子(小学5年生)が家出未遂をした、と娘から聞かされ、すわ何事、と驚 いてしまった。が、詳しく聞けば何のことはない。 コロナ禍で臨時休校となったために朝寝坊はする。起きてからもパジャマ姿で漫 画を読んでいる。朝ごはんだよ、と呼び掛けてもテーブルに着かない、などで娘 の怒りが爆発し、「言うことをきかないなら、協力できないなら、そんな子は家 族じゃない」と大声を上げたのだそうだ。 すると、孫はにわかに着替えたが姿を見せない。顔を洗っているのだろうと思っ たのだが、それにしても遅すぎるので、またグズグズしているのだろう、と思っ て洗面所を覗いてみたがいない。それならトイレだろうと思ったがやはりいない。 二階の子供部屋にもいない。どこへ行ってしまったのだろう、といささか心配に なって玄関に出て見ると、ドアの内側に蹲ってめそめそ泣いていたのだそうだ。 孫の説明が振るっているというか、可愛いというか、微笑ましいというか、とに かく笑ってしまった。 家族じゃない、と言われたので、それならこの家には居られないと思って服を着 て、靴を履いて玄関から出ようと思ったが、どこへ出て行ったらよいのか分から なくて困ってしまい、どうしてよいのか分からないのが悲しくなって涙が止まら なくなってしまったのだそうだ。 子供にとって、家出といえば家を出ることだけしか分からないのは当然だ。どこ へ出て行くのかは誰も教えてくれない。この齢になって我が身を振り返っても、 家出するとして、さてどこへと考え込んでしまう。日頃から候補地の一つや二つ は決めておくのが危機管理というものかもしれないが。 今度孫に会ったら、家出でする時は、ママに黙ってオジイチャンのところへ来れ ばいいんだよ、と教えておこう。