第 3797 号2021.11.21
「点字ブロック」
山口幸子
お散歩を兼ねて少し遠くにあるドラッグストアまで買い物に出かけていた時のこ と。 ドラッグストアの前で若い男性が一生懸命倒れた自転車を起こそうとしてい るが、なかなか起こせないでいるのが目に入った。 よく見ると、白杖(視覚障害者が歩行の際に前方の路面を触擦して使用する白い 杖)を持っているではないか。 慌てて自転車を起こすのを手伝った。 その男性は「ありがとうございます。」と一言言ってその場を立ち去った。 悲しそうだった。 起こした自転車のある場所を確認すると、なんと「点字ブロック」を斜めに遮るよ うに駐輪してあった。きっとその男性はぶつかったか、白杖で突き倒したに違いな い。 バリアフリーが叫ばれているこの世の中、健常者の中には、無理解・無頓着な人 もおり、点字ブロックの上に平気で物を置いたり、駐車・駐輪されていることも 多い。 点字ブロックを利用している視覚障害者の割合は少ないかもしれないが、そのよ うな些細なことにも気を付けられる人間でありたいと思う。