第 3778 号2021.7.11
「新しい街に思うこと」
田中光晴
引っ越すことになった。両親と2世帯をするために、といえば聞こえはいいが、 やはり2世帯計画はいろいろある。玄関は別で設計したが、両世帯間を行き来 できるように屋内に接続ドアを設けた。このドアに鍵をつけるかどうかでも めたりした。 新しい街に越すまでは少し時間がある。気持ちが逸り、すでに何度か引っ越し 先に散策にいった。遠方ではない引っ越しは初めてだか、近場でも見知らぬ 街はあるもので、初めて歩く路地は,それはそれでとてもワクワクする。6歳と 4歳になったばかりの子供たちも「冒険だね」といいながら、意気揚々である。 ふと入った路地にきれいな空色の外観の街の写真館があった。外向けのディス プレイに温かく飾られた成人写真や家族写真に見とれていたら、中からご主人 が顔を出してきた。今度引っ越してくるので、散策していたらあまりに素敵で と、伝えると、そうでしたか、この街はいい街ですよ、写真もご自由にご覧下 さい,と話してくれた。写真館の歴史などを教えてもらい,散策の続きに出発 しようとすると,ご主人が,写真を撮りに来なくてもいいから、越してこられ てからも、是非遊びにいらしてくださいね、とのこと。見知らぬ土地が少し 知った土地になった。この街はなんだかよさそうだ。 二世帯になり家族が増える。きっといろいろあるだろうけど、楽しいことだっ て多くあるはず。新たな家族と新たな街に引っ越すのだし、せっかくだから、 二世帯記念写真を撮ってもらおうと思う。両親に伝えたらきっと喜ぶだろうな。 そんな計画を立てながら、引っ越しの日を楽しみに待つことにした。