第 3776 号2021.6.27
「私の幸せ」
田中 結
最後の授業の終わりのチャイムを聞いて喜んで、話の長い先生のHRにちょっ とじれったくなって、「さようなら」と言ったら私の放課後が始まる。一緒に 帰る自転車組の友達が、三人とも笑顔で、「今日部活ないよね?帰ろ!」と 言ってくれて、あぁ幸せだな、と感じる。思わずそれを口にしたら、「ユイっ ていつも幸せ感じてるね。」って言われる。でもきっとみんなもそう思ってる はず。 別の日は、「今日部活!」そう言ってみんな教室からとびだしていく。一人 は体育館へ。一人は和室へ。もう一人はダンスフロアへ。そして私は武道館へ の階段をのぼりながら、高校生っぽいな、なんて考える。みんなで一緒に帰る 時は楽しいし、部活の時は、いつも一緒のはずのみんながそれぞれの場所で 頑張っていると思うと不思議な気分になる。理由は分からない嬉しさがこみ上 げてくる。幸せなんだと心の底から思う。青春っていうのかな。 風はたくさんの音を私に届ける。体育館の床とシューズのキュッキュって音。 ワンツーとリズムにのる音。筝のメロディー。その音で私は元気になれる。幸 せになれる。 みんな明日も部活頑張ろうね。 それで、明後日は一緒に帰ろうね。