第 3753 号2021.1.17
「アイスコーヒー、たまごで。」
かわじほうし(ペンネーム)
果物が日をあびてきらきらひかっている。横にはかごいっぱいの古本が並んでい る。値段はマスターまで、というメモがひらり。 もう嬉しくなってくる。 木のドアを押して中に入る。 ムーンリバーが私の手をひいて、 世界がゆるりと回転する。 モーニングはサンドイッチが二種類から選べる。迷わず玉子サンドを頼む。 カウンターの端に座る。 マスターはまず、食パンを二枚、薄く切る。そうしてボウルに卵を割り菜箸で混ぜる。 いつの間にかフライパンは温まっており、卵を入れるとジュッといい音がする。 たまごいくよ、マスターの声に合わせてかちわり氷いりのアイスコーヒーと一口サイズ のメロンが運ばれてくる。 ふうわり嬉しさがこみあげる。 流れるように自然な動きで、真っ白なお皿にナフキンを置き、玉子サンドをぽんとのせ る。 何十年と毎日毎日作っている。 すごいことだなぁ。 玉子サンドが運ばれてきた。 小さな映画を観たようなしあわせな気分になった。ここはわたしの大好きな場所。 いただきます。