第 3745 号2020.11.22
「似たもの同志の結婚」
ひろちゃん
一時の感情で発した言葉であっても責任を持つ人生を送ってきた。 結婚もそうだった。 入社3年目で子会社出向となり、会社を辞めようと揺れる気持ちで初出勤。 朝礼で挨拶してほしいと促され、自己紹介に続いてある宣言をしてしまった。 「この職場でお嫁さんをみつけて帰ります」。 社員たちは呆れ顔で聞いていた。 宣言を覚えている社員はひとりもいなかった。 でも、私はその宣言にこだわっていた。 出向から1年2ヶ月が経過したときのことである。 当初の出向は3年と言われていたのでのんびりと構えていたが、2年に短縮と 連絡が入り、慌てて嫁さん探しを始めた。 出向終了まであと10ヶ月しかない。 もし、見つけられないと嘘をついたことになる。 そんなときに一緒に飲みに行ったwifeと親しくなり、1ヶ月後にプロポーズをし、 4ヶ月後に式を挙げるという超スピード婚をした。 愛があったというより自分の言葉に縛られて結婚を急いだのが真相であった。 先日、結婚の経緯をwifeに打ち明けた。 「失礼ね」と怒るかなと思ったら違っていた。 適齢期が過ぎたとうるさく言う両親にあてもないのに嘘をついていたそうだ。 「今年中に結婚するから」。 もうすぐ結婚から40年になる。 お互いに労わりあう老夫婦になれたようだ。