第 3743 号2020.11.08
「夢」
唯(ペンネーム)
夢をあきらめるのは、夢をかなえるのと同じくらい難しい。 私のいとこは大学生と高校生の姉妹だ。 ふたりとも、将来の夢がないことが悩みらしい。 それなりに好きなことはあるけれど、仕事にしたいほどじゃないし、 憧れる職業もない。 たしかに、先生や親は「夢をもつのはすばらしいことです、みんな 夢を持ちましょう」と教える。 テレビでは、夢をかなえた人や、夢に向かって努力している人が注 目され、キラキラと輝いて見える。 夢がないのは、問題があることなんじゃないか、と思ってしまって もふしぎじゃない。 でもだけど、ほんとうにそうだろうか。 夢があるのはすばらしいことに違いないのだけど、すべての人が 立派な夢をかなえられるわけじゃない。 パイロット、宇宙飛行士、作家、役者、スポーツ選手。 むしろ、立派な夢であればあるほど、その道のりは遠くけわしく、 いつまでも夢を手放せないで自分を責めてすごく苦しむことだってある。 夢をあきらめるのは、夢をかなえるのと同じくらい難しいのだ。 だから、無理に夢をもたなくてもいいと思う。 家族とまいにち笑いあって、おいしいごはんを食べて、仕事や部活で失敗 したり、感謝されたり、そんな「平凡な毎日」を生きること。 小さな幸せをたくさん積み上げていくのも悪くないよと、2人に言って あげたい。