「心変りに、はっとして」

ひろちゃん（ペンネーム）

今日はクリスマスイブ！
鳥たちが鳴き交わす声が聞こえた。

そうだ、鳥たちにもプレゼントをあげよう！

庭に出て、木の枝にリンゴをまるごと突き刺した。

すぐに一羽のヒヨドリがやってきた。

リンゴのそばに飛び移り、嘴を突き刺しはじめた。

天を仰いで小片を呑み込み、再び嘴を突き刺した。

よほど空腹のようで、しばらくついばんでいた。

飛び去ると今度は別のヒヨドリが飛んで来た。

そして同じように夢中でついばんで飛び去った。

ヒヨドリたちは相当お腹を空かせていたようだ。

1時間するとりんごの半分近くが食べられていた。

今度は、メジロがやってきた。

隣にある椿の葉に隠れて様子を伺っている。

やがてリンゴの刺さっている枝に飛び移り、

嘴を突き刺して食べ始めた。

1分も経たないのにメジロはさっと飛び去った。

ヒヨドリがやってきたので逃げてしまったのだ。

いじめられっ子のメジロがかわいそうになった。

弱者のメジロたちに腹一杯食べさせる手立てはない

ものだろうか？

先ほどまでかわいいと思っていたヒヨドリを

邪魔者扱いする自分の心変わりに驚いた。

『人の心ほどあてにならないものはない』と言われ

ないように気を付けたいと思った。