第 3699 号2019.12.15
「 明るい場所が似合う人 」
アラン(ペンネーム)
職場にとても素敵な女性がいる。20代半ばの彼女のおかげで、私の朝は毎日清々しく始まる。
誰に対してもフェアで笑顔を絶やさず、困っている同僚がいればすぐに手を差し伸べる、仕事は正確で早く、不測の事態で頭を悩ませているだろうときでも、とにかく人への心配りを忘れない。そして何より人の悪口は言わず、噂話にも絶対に迎合しない。 なぜだろう、彼女はいつでも「陽」の雰囲気を纏っていて、その明るさが人に伝染するのだ。あまりプライベートなことを明かさない都会の職場に於いても、積極的にご家族や自身の休日の話などをして、場を和ませてくれる。いつだったか、失恋をし、尖った気持ちで一人旅をした話や、高校生の頃お父様と大げんかをして家を出た話などをしてくれたことがある。遠くを見つめながら、将来を不安に思う気持ちを聞かせてくれたこともあった。彼女もきっと当たり前に、年齢なりの経験をし、悩みがあるに違いないのだ。誰しもいつでも上機嫌でいることは容易ではない。しかし敢えて意志の力でそれを実行することができる気持ちの強さを、彼女は持ち合わせている。私は、本当の育ちの良さ、洗練とはこういうことではないかと思う 。私自身は、家庭を持ち常に時間に追われる忙しさから、つい自分ばかりが大変だと愚痴をこぼしたくなることがある。不機嫌の連鎖から抜け出せないこともある。不甲斐ないことかもしれないが、年齢が半分ほどの彼女は、私にとってのメンターであり、反抗期真只中の娘を持つ身としては、是非とも彼女の親御さんに、どのように娘さんを育てられたのか訊ねてみたい、心からそう思うのだ。若い人から学ぶことはたくさんある。明るい場所が似合う人、誰かを明るく照らすことの出来る人、そういう人に私はなりたい。