第 3692 号2019.10.27
「 言葉の力 」
ゆらら(ペンネーム)
料理はきらいではないけれど、家族が何も言わすに食べ終えた皿や弁当箱を流しにさげることが続くと、激しく調理意欲が削がれてしまう。自分でも「なんて単純な」と思う。でも実際、ひとこと「今日のお弁当美味しかった」と言われると「よしっ。また明日も作るぞお」と思うし、褒められない日が続くと、「詰めるだけでも時間がかかるんだけどなあ。なんか悲しいなあ」とシュンとして洗う気も失せてしまう。
そんな母を察しているのかいないのか、中一の息子は家族の中でもっともマメに褒めてくれる。
先日驚いたのは味噌汁を褒めてくれた時。「この味噌汁、すごく美味しいねえ」それはよかった。喜んでもらえて。適当にあるものを入れただけなんだけどな、と思う私。
「全国で100番目くらいに美味しい」「???」これって褒め言葉?と私の頭のなかでクエスチョンマークがいくつも点滅する。
「それって褒めてるの?」息子「だって、県で一番目か2番目に美味しかったら、47都道府県あるから100番目くらいかなと思って」そうか、そういうことか。大変高く評価してくれたのね、と戸惑いつつもありがたく思う私。
それ以来、「美味しい」があまり聞けなくても、「今日の味噌汁、もしかしたら全国で100番かなあ」とひとり満足している。褒め言葉、恐るべし。