第 3684 号2019.09.01
「 小さなガリレオ 」
おにさん(ペンネーム)
5歳の息子は、なにかと日常の中に疑問見つけるお年頃だ。
私に質問を浴びせる毎日である。
あるとき、不思議そうな顔をしてこう言った。
「ねぇ、どうして夜になると暗くなっちゃうの??」
小さい子供にでも分かるように説明するのは、意外と難しい。
科学的なことをできるだけ分かりやすく答えようとするのだが、矢継ぎ早に次の質問が飛んでくる。
「じゃあ、お日さまはどこにいっちゃうの??」
なんだか、とんちのような質問にどうのような解説が適切であるのか・・・
そう戸惑っていると、今度は怪訝そうな顔をして
「でもさぁ、暗くなるとお化けがでるから嫌だよね」
なんて言うのである。
かわいいものだ。普段は生意気だが、どうやら暗闇やお化けに対する恐怖はあるらしい。
しかし、しばらくすると、すべての謎が解けたかのように息子は私にこう言った。
「ねぇ、お日さまはさぁ、夜になると暗くなってお化けが出るのが怖くて隠れちゃうんだ!」
そうか。いつも質問ばかりと思っていたが、彼は彼の中で想像し必死に自ら答えを導き出そうとしていたのか。
なんとも矛盾しているのだが、もはや君の天動説でも地動説でもない、おそらくガリレオでも考えなかったであろうその奇抜な発想は、なんてシュールでありながらもユーモアに溢れ、微笑ましいのだろう。科学的な説明など必要なかったのだ。
小さくても、正しくなくても着実に一歩進んでいく我が子に目を細めながら、私は何も答えなかった。