「 ひな祭りの秘密 」
おかざきまもる(ペンネーム)
ゆかこちゃんの家に遊びに行くと、大きな台にたくさんのお人形さんが飾られていました。
「これひな人形っていうのよ」
ぼくは思わず大きな声で「すごーい!」と言いました。
「これがひな壇で、これがおだいりさまで・・・」とやさしく教えてくれました。ゆかこちゃんはいつもとっても優しいです。ぼくはひな壇と言われたとき、テレビでお笑い芸人の人が自分たちのことを「ひな壇芸人」と呼んでいたのを思い出しました。だからゆかこちゃんに「おだいりさまはお笑い芸人さんなの?」と聞くと、ゆかこちゃんは「え、わかんない。そうかも」と言いました。
ぼくはお笑い芸人さんが家にいるなんてすごい、って思いました。
ゆかこ先生のひなまつり説明の後、ごほうびにしろざけを飲ませてくれました。すごくあまくておいしかったです。でもぼくは飲んだ後、ふとふしぎに思ったことを聞いてみました。
「しろざけっておさけなの?ぼくら8さいなのに飲んでいいの?」
ゆかこちゃんは「え、わかんない」と言いました。「ゆかこちゃんとぼく、捕まっちゃうかなぁ」とぼくが弱気なことを言うと、ゆかこちゃんが「これはゆかことまもるくんだけの秘密にしよ!」と言いました。
ぼくはおまわりさんみたいな敬礼をしながら「はい!」といいました。ゆかこちゃんは「よろしい!」と言いました。
家に帰って、おかあさんに今日あったことをお風呂で話しました。学校のこと。学校の後ゆかこちゃんの家に行ったこと。ひな壇のこと。そしてぼくはついうっかりしろざけを飲んだことも言ってしまいました。
ぼくは秘密をしゃべってしまい、もうおしまいだ、と思って涙が溢れてきました。
でもお母さんは「大丈夫。大丈夫。ひな祭りはいいのよ」と言って優しく頭を撫でてくれました。
今日は色々あったけど楽しかったです。
ぼくはひなまつりとしろざけとゆかこちゃんとおかあさんとお笑い芸人さんが大好きです。