第 3640 号2018.10.28
「 朝焼けに会いにゆく 」
あま(ペンネーム)
私は今年の春から大学生になり、親元を離れて一人暮らしを始めた。誰からも生活のスケジュールについて言われないため、何時に寝ても、何時に起きても全て自己責任である。そのため、休日の朝は心ゆくまで布団の中でゆっくりしていたり、金曜日の夜は好きなだけ読書をして過ごしたりしていた。一人暮らしの楽しさを存分に謳歌していたのだった。
そんな中、大学から出た課題がかなりハードで、とても終わらないときがあり、私は人生で初の徹夜をすることになった。眠い目をこすりながら必死に課題と向き合い、深夜を超えて、気づくと窓から入る光が明るくなり始めた。課題のゴールも近付いたので、ふとカーテンを開けてみるとそこには驚くほどきれいな朝焼けが広がっていたのだった。十二階に住んでいるため、周りにはそれほど高い建物もなく、私はただただ目の前の光景に目を奪われた。太陽が地平線から昇り、赤やオレンジの混じった何とも言えない光が解き放たれ、交差し、幻想的な空間を作り出していた。
こんなにも綺麗な景色を私は今まで見逃していたのかともったいなく思った。あまりの美しさを感じると人はそれを共有したくなるものなのか、実家の両親に写真を送ってしまうほどだった。
その日を境に私は、徹夜ではなく、早起きをして朝焼けを見るようになった。夜は早く布団に入り、目が覚めて一番に窓を開けて、すばらしい朝焼けを拝むようになった。夜にしていた読書や勉強も朝の時間に行うようになった。自分でも驚くほど太陽に合わせた健康的な生活を送るようになったのだ。
日々の暮らしの中で、生活のリズムを変えるだけでこんなにも満ち足りた気分にしてくれるとは、朝焼けの効果はすばらしい。私は今日も、明日朝焼けに会うために布団に入る。