第 3639 号2018.10.21
「 まぁいいか 」
ネイビーグレイ(ペンネーム)
今月で結婚二十五年となった。「銀婚式」なんて節目の言い方で、さぞジイさんバアさんに近づくのかと思っていたら、確かにお互い白髪は生えてきている。夫が三つ年上である。
似たもの夫婦ではない。考え方も逆に近い。コップに半分の水を、私は「もう半分しかない」と焦り、夫はケロリと「まだ半分もある」と、とらえる。サプリメントにこれだけ気を遣っていて、どうして効かないんだろう、とこぼすと、
「違うよ、飲んでるからそれだけの症状で済んでるんでしょ」
と、即答だ。一緒に生活をするなか、私には出来ない見方にたびたび救われてきたのは確かだった。
新婚当時、インスタント麺が茹ですぎと言われ、目玉焼きは固すぎると苦情が出た。未だに大きな体から一度くしゃみが始まると、あきれるほどの連発をする。結婚生活継続の秘訣は、どこまでが「まぁいいか」で治まるか、なのかもしれない。
ド近眼の夫と遠視で疲れ目の妻は、見える世界も違いつつ、また明日を迎える。