第 3638 号2018.10.14
「 微糖のコーヒー 」
たんぽ(ペンネーム)
ある日、友人と喫茶店でコーヒーを飲んでいた時。コーヒーをブラックで頼んだ私に、友人が「よく飲めるね!私は苦くて飲めないよ」と言った。私は甘いカフェオレを頼んだ友人を、「無糖の良さが分からないなんて子どもだなあ」とからかった。しかし数日後、大学の教授と面談をした時に、教授がコーヒーに砂糖を入れながら「いつもは無糖で飲むんだけど、最近は微糖が気に入っていてね、無糖にはない、ほのかに残る優しい甘みに癒されるんだよ」と仰った。それを聞いて私はハッとした。無糖のコーヒーを飲むことが、味の本質を楽しむことができる「ツウ」だと思い込んでいたけれど、色々な飲み方を楽しめる人こそが、本当にコーヒーを愛する「ツウ」なのではないか、と気づいたのだ。
後日、私は友人に、からかったことを謝ってから、運ばれてきたコーヒーにミルクと砂糖を入れ、一口すすった。すると、ほのかな甘みとミルクのコクが広がり、思わず笑顔になった。それをみた友人もつられて笑った。この前頼んでいたものと同じ、甘いカフェオレを飲みながら。