第 3634 号2018.09.16
「 「好き」が好き 」
M・A(ペンネーム)
不器用なせいか、毎日の炊事が苦痛でなりません。日が傾き、夕飯を作る時間が近づくにつれて憂うつな気持ちになります。
けれど、不思議なことに、料理が好きな方には好感を抱くのです。
レシピを切り抜いて参考にするこはないのですが、料理研究家の記事を保管しておくことはよくあります。
「こうすれば、美味しく仕上がるんですよ」
満足そうな表情を見ると、こっちまでにっこり笑ってしまいます。
また、アウトドアは苦手なのに、山登りが好きな方のお話には聞き惚れてしまいます。
「今度、一緒に登りませんか」
思いがけず誘われ、丁重にお断りしました。
私自身は出不精な怠け者ですから、恐らく「好き」が好きなのでしょう。
手芸でも、ガーデニングでも、工作でも、パソコンでも。
好きなものを語る方の表情は、いきいきとしていて実に豊かです。
時に謙虚で、時に自信に満ちあふれ、心底から楽しんでいることが伝わります。
究極の姿は、好きなことを生業にできた方々です。
働くとは辛抱を伴うものですが、その向こうには純粋な喜びが待ち受けているのではないでしょうか。
どんな制服も作業着も、エプロンも前掛けも、「好き」の結晶に感じられます。