第 3597 号2017.12.31
「 幸せな時間 」
可芳里(ペンネーム)
5度目のドキドキが襲って来ている。
旅と縁の無かった私は、この年まで旅の楽しさを知らなかった。ところが10年前、娘が結婚してアメリカに住むようになってから、人生がガラッと変わってしまった。
国内旅行もしたことのない私がパスポートを取り、パソコンでチケットを手配してその日を待っている。
その日・・・アメリカに出発する日。
パートナーは長年連れ添った夫だ。日頃無口な夫が空の旅では饒舌になり、少し優しくなる。どうやら空の上ではこころが開放されるみたいだ。
旅には3度の楽しみがあると思う。
1度目は出発する前。チケットを取った日から夢が膨らんでいて、準備が整うと胸がドキドキし始める。子供の頃の遠足の前日を思い出す。大人になってもこんな気持ちってあるんだなぁ・・・
2度目は現地に着いて娘夫婦や孫に逢えた時。見知らぬ土地で暮らす夢のような日々。
3度目は帰宅してデジカメで撮った写真を眺め、思い出に耽る時。
しかし旅は楽しい事ばかりではない。必ず別れが付いてくる。非日常から日常へと階段を駆け下りる時、人生の無常と寂しさを感じる。
それでもまた、次の旅にこころ奪われている私・・・
幸せにも今年もまた5度目の渡米が近づいている。