第 3594 号2017.12.10
「 知らんぷり 」
Inri(ペンネーム)
ある日、学校から帰った小学1年生の息子の様子がおかしかった。いつものような元気がなく、少し泣いた跡がその目から伺えた。
「何かあったの?」
「隣の席の女子に字が汚ないって言われた、、、」
毎日遊んでばっかりなんだから、当たり前だろ、と思いつつ。
「、、、そっか。でもお母さんは優さんの字好きだな~」
「でも、ノートがぐちゃぐちゃって言われた、、、」
確かにあなたのノートは解読不能、と思いつつ。
「、、、。そんなの知らんぷりしちゃえ!」
「知らんぷり?」
「そっ!知らんぷり!」
「分かった!」
食事の支度をしながら、でもなあ~、このままじゃなあ~と思い、何となくを装いながら息子に言ってみた。
「でもさあ~、ちょっとだけひらがなの練習してみる~?」
返事がない。
「ちょっと練習すれば、ぐちゃぐちゃなんて言われないかもよ~」
返事がない。
「どうした~?」
台所からテレビを見ていた息子の様子を伺うと、息子は真顔で私に言った。
「知らんぷりの練習した~!」
「、、、」
うん、この子は大丈夫!?
大丈夫か?
あれから2年。
小学3年生になった息子のノートは未だにぐちゃぐちゃ。
ぐちゃぐちゃに周りの女子が見慣れたのか、未だに知らんぷりし続けているのかは知らないが、、
でも今では嫌々ながら毎日強制漢字練習。
きっとこの子は、大丈夫!