第 3588 号2017.10.29
「 男子厨房に入れ 」
笠間 茂(立川市)
昔から「男子厨房に入るなかれ」と言われている。しかし我が家では男の私も頻繁に厨房に入り、料理を作り、後片付けもする。
このような状態になったのは、私の恩師が晩年、頻繁に厨房に入り、パンを焼いたり、洗い物に精を出していたと聞いたことと、家内が外出先で転倒し、膝の骨を折り、1か月ほど厨房に立てなくなりピンチヒッターに立ったことによる。
確かに、男子が厨房に入るといろいろ問題を引き起こす。私はネットで手に入れた生半可な知識を頼りに自己流でこなすが、家内には長年仕切ってきた方法がある。その相克の例は枚挙にいとまがない。また、私は買い物からするのだが、買い物の店、価格がたま家内の気に食わないことが多い。
それほど問題が多いのになぜ、厨房に入り続けるのだろうか。それは自分の食べたいものが食べられること、自家菜園の野菜を捨てずに済むこと、キッチンドリンクが楽しめる等、色々あるが、何といっても料理自体が楽しいからだ。
色々なトラブルが発生し、喧嘩もしたけれど、結局今は、土日は主菜、副菜ともに私が、週日は家内が主菜、私が副菜担当ということでバランスが保たれている。こんなに楽しい料理を100%彼女から奪ってはならないと私も気が付いたからである。
うーんと昔、新婚の頃、私はなんでも「うまい、うまい」と言って食べたつもりである。あまり褒めてばかりだと、上達がないと思い、たまに苦情を述べたこともあるが、そんな時、彼女は「まずい」と言われるとすごく悲しいと言った。ああーそれなのに、今、彼女は私の料理がまずいと、即座に「まずい」と言われる。「美味しい」とはあまり言わない。でも、何も言わなくても瞬く間に完食する時はきっと美味しかったんだろうなと推測している。