第 3581 号2017.09.10
「 一瞬の幸せ 」
三山 佳子(ペンネーム)
ふとした瞬間心があたたかくなる事がある
日常のなにげない時に思い出される感覚
庭で風に吹かれながら洗濯物を干している時
正座をしてワイシャツのアイロンがけをしている時
はたまた帰宅を急いでいる夕暮れ時など
それは予期せずやってくる
幼いころ母におぶわれていた背中のぬくもりの記憶なのか
父とキャッチボールをした手に残る熱の記憶なのか
はっきりとした映像は浮かばないのだが
その一瞬が雨上がりのように私の心を流し去り明るくする
年を重ねるごとに抱えこむものが増え
日々に埋もれた私のうしろには
無数のさまよった足跡が残されてゆくばかり
もしかしたらそれは自らを見失いそうな私へ
神様からのプレゼントかもしれない
「ひと息ついてごらん」
そんな風にいわれているようだ
「ありがとう」つぶやきを胸にしまう
そうして目をつむりゆっくりと深呼吸をしてみる
少しずつほんとうの私が戻ってくる