第 3534 号2016.10.16
「 葉っぱの定年 」
ひろちゃん(ペンネーム)
早春に芽吹き、若葉となって光合成をはじめた葉っぱたち。
夏の強い日差しをいっぱい浴びて、朝から晩まで働きづくめの毎日だ。
大風がくると飛ばされないよう必死に枝にしがみつき、大雨に打たれても耐えに耐えてきた。
樹を大きくするために一生懸命働くこと七ヶ月。
葉っぱたちが一斉に定年を迎える秋がきた。
「頑張ってくれてありがとう。第二の人生を大いに楽しんでね」と連日連夜の送別会。
酔っ払てすっかり赤ら顔になった葉っぱもいれば、飲みすぎて黄疸の出かかった葉っぱもいる。
「あとは任せるから頼むよ」と別れを告げてひらひらと散っていく。
地面に落ちて元の枝を見上げると来年の新入社員たちの芽がついていた。
散りぬべき時しりてこそ世の中の
花は花なれ人は人なれ(細川ガラシャ)