第 3520 号2016.07.10
「 素足 」
金城 真喜子(世田谷区)
リノリュームの床を
裸足で歩いた
ピタピタしていた
冷たい床を
二回目の歩いた
十九才の夏
友だちとふたり
あぶくま洞に向かうアルファルトの道を
素足で歩いたことがあった
靴もサンダルもはいてないということが楽しくて
足の裏に地表の熱を知って
キラキラ歩いた
三回目のリノリュームの床を歩いていたら
Kの言葉を思い出した
「通俗的なところがあったほうが人に優しくいられるよ」
数えきれない後悔を胸に抱え
三桁もの恋をして
しわとしみを増やしながら
私はあの頃よりも
優しくなっただろうか