「 学生寮から戻ってみたら 」
根は真面目(ペンネーム)
高校時代の3年間、最寄り駅から学校までバスはあるものの慢性的な渋滞が酷く、殆どの生徒は30分強を徒歩で通学をしていた。
友人と話しながらの毎朝、毎夕だったため1~2年生の時はそのことを苦痛に感じることはなかった。しかし、3年になりいよいよ受験の追い込みになり、雨の日、定期試験中、また部活のため遅い帰宅になった時など、片道30分往復1時間の徒歩は苦痛に変わっていった。
そんなこんなでめでたく合格したら、大学近くの寮に住むことを両親から約束を取り付けた。希望の大学に合格し、晴れて大学まで徒歩数分の寮に移った。ギリギリまで寝てても、授業に出られる。
雨が降っても、カバンを頭に乗せれば自室に戻れる。まさにキャンパスライフを謳歌する日々であった。それから約束の2年が過ぎ、3年生からは自宅から通うことになり、寮を引きあげ実家に戻った。
幸い3年からの校舎は最寄り駅から近く、問題のない距離である。
しかし、なぜか実家に戻ってから落ち着かない。2年ぶりの実家生活。部屋も家の周辺も変化なし。しかし、両親との距離を感じる日々。「そろそろ起きたら?」「お風呂沸いてるから、どうぞ」「夕飯何か食べたいものある?」「洗濯物あるんだったら早く出して」「友達のところに泊まるんだったら、メールして」・・・・何気ないごく普通の会話に、いちいち反抗する自分がいる。さらっと流せば問題ないはずだが、「うるさいなあ」に変わる。有難い親の発言がうざうざしい。これを子離れしていない親の干渉と見るか、逆に親の好意の良いところ取りをし、親も喜ぶ新たな関係を築くかは大きな分かれ目である。通学時間だけでなく、24時間365日自由な生活を手に入れた自分に、次なるテーマが生まれた。接触を余り好まない息子にどのように接したら良いか戸惑う親を見て、ウインウインの新しい親子関係を模索中の近頃です。
息子より