第 3486 号2015.11.15
「 母になってわかったこと 」
のさかなみ(ペンネーム)
一年ほど前、私は念願の母になった。
母になって初めて実感したのだが、子育てって本当に大変だ。
妊娠中は、お腹が重いから早く赤ちゃん出てきてちょうだい、などと思っていたが、生まれたら生まれたで、赤ん坊は昼問わず、三時間ごとに母乳を欲しがる。寝不足でしんどい上に、慣れないオムツ替えに手間取るし、風邪もひく。今度は、早くごはんを食べるようになればいいのになと思っていたが、離乳食を食べるようになれば、手づかみで食べてそこいらじゅうを食べ物でベタベタにする。本当に、息つく暇もない。
発見もあった。子どもを持つまでは気にもとめなかったけれど、道にはベビーカーを押している人がたくさんいる。
休日ともなれば、赤ちゃんを抱っこしたお父さんという組み合わせがたくさんいる。きっと母親に、「休日は、お父さんが面倒みてね」と言われてのことだろう。それに、子どもの目線でものを見ようとしゃがむと、こんなところに小さな花が咲いていたの、なんてことに気づいて、これまでどしどし歩いていた道を、草花を避けながらそろそろ進むようになる。
でも、一番嬉しかったのは、道行く人の笑顔だ。ベビーカーを押していると、前方から歩いてくる人が、子どもを見てニコニコしてくれる。階段を目の前に途方に暮れていると、横から手が出てきて、ベビーカーを持ち上げてくれる男性がいる。「子育て頑張ってね」と、見知らぬ人が声をかけてくれることもある。心がほっこりあたたまる。
自分の子どもに限らず、ふっくらした頬をぽわんっとさせて笑う子どもたちを見ていると、幸せな気持ちになる。
すべての子どもがこの先ずっと、笑顔でいられるような社会を、私たち大人がちゃんと作っていかねば。そう心に誓う、今日このごろだ。