第 3479 号2015.09.27
「 飛行機ごっこ 」
山田雄一(横浜市)
「パパー!公園に行こう!」小学2年生の愛娘は太陽のように輝いている。
「少し待っててね。」学校から帰って来てすぐだから、何も用意が出来ていないよ。そしたら玄関でランドセル背負ったままむくれていた。怒らないでね。手をつないで行こう。「うん!」秋の気持ちいい風を感じながら一緒に歩んで行く。公園に着くと、お友達が声を掛けてくれた。「パパー、遊んできてもいい?」即一人ぼっちになってしまった私は、ベンチに腰掛けた。秋晴れ。雲は高く子供達の声を聞きながら見守る。
そう言えば、昨日テストで40点取ったんだっけ。勉強させなきゃ。作文も読んだよ。そこには娘が豆を挽いて煎れてくれたコーヒーと、未来のパティシエが作ったフルーツのケーキをパパが美味しいって食べてくれた事が書いてあった。遠くの方で「キャハハー!」だって!「まあいいや。ありがとう。」ベンチがファーストクラスの席に変わった。
夕暮れ時は、上空を飛び交う飛行機がやたら目に付くようになる。一空に一機ずつ現れる規則正しさに、私は時間を経つのを忘れてしまう。大抵雲の中へと消えてしまうのだが、今日は違った。
澄み切った空。いつまでたっても見えている。ごま粒が遠くの建物に消えていくまで15分間。だったら最初から最後までと言うことになりずっと追い続けた。
単なる暇つぶしだったけれど、見失うと結構悔しい。しかも消えたかと思うとまた現れるのでキリがない。かなり疲れる。疲れ果てた。この日は計4台。約1時間。ベンチで飛行機ごっこをし続けた。
するといきなり「パパー!もう少し遊んでもいい?」愛娘とお友達の笑顔が猛スピードで走り迫って来る!「あっ、はい。いいよ。」
飛行機がまた現れた。