第 3460 号2015.05.17
「 感じ入る 」
鈴木 操(横浜市)
行きつけの整形外科に予約の電話を入れる。
Mクリニックでございます。爽やかな声が聞こえてくる。彼女の優しい顔が浮かぶ。病院に治療に行くというのは気の重いことなのだが、彼女に会えると思うと楽しくなる。彼女はクリニックの受付係だ。在る時、まだ小学校低学年だろうか、一人ではクリニックに来たことないような少年が受付に来た。その少年に対する対応に感じ入った。何も持たずに来て、何をしにきたのかも分からないらしい。
それなのに優しく話しかけ、困惑している少年に労るように説明し、納得した少年は帰っていった。
整形外科のクリニックなので老人の患者が多い。これが又大変。
耳の遠い人、訳の分からないことをくどくどいう人、世間話を始める人。しかし、こういう人達にもにこやかに笑顔で対応する。
世相を反映してすぐ切れたり、親切、思いやりなどという言葉が死語になってしまったような昨今、本当に彼女は稀有な存在だ。
クリニックに行く度に癒されて帰ってくる。
人に接する時は自分もこうありたいと思っている。