第 3443 号2015.01.18
「 雪のいざない 」
あおい(ペンネーム)
ビルの街が、静かに白く染まってゆく。
せわしないこの街が、
今日はひとを変えたように
沈黙している。
なすこともなく、
うたたねを重ねているうちに、
不思議な夢を見た。
なぜか、季節は、
燃えるような緑。
わたしは、誰かを必死に追いかけている。
振り向くことのない白髪のそのひとは、
小学校の頃の恩師だ。
「心迷うことがあるのだ。
教えてほしい、
道は、どこ、に・・・」
叫ぶ声が宙を舞う。
先生は、わたしが分からない問題があると、
厳しく、優しく教えてくださった。
その後ろをついて歩いて行けば、
いつもそこには正しい道があったのに。
届かぬ声に立ち止まったわたしを、
ゆっくり恩師が振り返る。
その顔には、輝くばかりの、
優しい微笑みがあった。
まるで迷うわたしのことすら、
祝福するかのように・・・
そこで、
夢は途切れた。
目覚め、思い出す。
恩師はすでにこの世のひとではない。
だが、わたしの道は続くのだ。
いつか誰かを微笑み返すために。