「 福袋 」
柳井幸仁(ペンネーム)
福袋は、基本的に在庫処分的な意味合いが強いものだと思っている。
けれども、そんな風に思っているにもかかわらず、何となくくじを引くような感覚で買ってしまうから不思議なものだ。
福袋に良い物が入っていれば大喜びだし、大した物が入っていなければがっかりしてしまう。
最近は中身が最初から分かっているという福袋もあるけど、中身が決まっているなら、福袋というよりは普通に商品を抱き合わせで売っているような気がして、違和感を覚えるのは自分だけだろうか。
はずれがないという安心感はあるのかもしれないけれど、開けてみるまで何が出るか分からないドキドキ感を楽しむ事ができないというのは、少し寂しい気がする。
しかし、中身が見えない普通の福袋は、なかなか曲者であると思い知らされた出来事が先日あった。
ふらりと立ち寄った本屋とゲームショップが併設しているような店で、ゲームが好きな兄へのプレゼント用に三つのゲームソフトが入っているという千円の福袋を買った。
値段を考えても、そこまで良い物は入っていないということは分かっていたけれど、プレゼントする前に中身を確認しておこうと袋を開けてみると愕然とした。
そこに入っていたゲームソフトは、家計簿、秘書検定対策、常識力チェックという、普通に遊ぶことのできるゲームとはかけ離れた物だったのだ。
良い物が出ないのは分かっていたけれど、さすがにこれは不意打ちだった。
これではプレゼントにならないし、自分でも小学生の時に使っていたゲーム機を引っ張りだしてまでやる気にはなれない。
結局、これといった有効利用の方法も思いつかないので、三本のゲームは自分の部屋で眠ったままになっている。
やはり福袋は在庫処分品であり、期待は禁物であるということを、身を持って実感した出来事だった。