第 3438 号2014.12.14
「 湯たんぽセッセ 」
M・A(ペンネーム)
今年の冬も灯油ストーブを使っています。
安全面や利便性を考えると、スイッチ一つで暖かくなるファンヒーターはとても魅力的。買おうか、買うまいかと散々悩みましたが、「暖を取るだけでなく、鍋をかけて煮炊きができる」
光熱費の節約を理由に断念しました。
リビングの隅に置かれた灯油ストーブは、古ぼけていても有能な働き者。夕食の片付けを済ませたあとは、薬缶にたっぷりの水を入れてストーブの上に置きます。
口から白い湯気がしゅんしゅんと吐き出されたら行動開始。急いで湯たんぽの中へと移し替えます。
一つ目の湯たんぽは中学生の二男のもの。部活の朝練があるので早く寝なければいけません。
二つ目は高校生の長男のために。夜更かしをしがちなので「早く寝なさいよ」と小言を一つ添えて。
そして三つ目の湯たんぽは、私と夫の布団の間に置きます。もう一つ買わねばと思っているうちに、今年も冬が来てしまいました。
互いの布団を重ねるようにくっつけて、一つの湯たんぽの上に足を伸ばしています。
高校を卒業したら、長男は家を出て行く予定です。そして、数年後には次男も同じように後を追うのでしょう。
その日が来るまで、私は湯たんぽをセッセと作り続けます。毎晩、灯油ストーブで潤沢にお湯を沸かし、三つの湯たんぽに次々と注ぎ入れていきます。