第 3428 号2014.10.05
「 青春復活三人旅 」
吉田 康則(木更津市)
学生時代の友人二人と富士山を眺める小旅行をした。卒業後、永らく交流が途絶えていたが、かつて苦楽を共にした仲間であるが故だろう。直ぐに打ち解けることが出来た。
卒業後、組織人として生きることに見切りをつけ、塾経営に転じたO君は、饒舌ではないが、観察力と舌鋒の鋭さは相変わらずである。些細なことにも曖昧さを許さず勘所を外さない。〔教育に携わることは、次代を担う子どもたちを育むために自分に課せられた使命〕と言い切るあたりにO君の矜持を見たような気がした。組織人として活躍後、悠々自適の毎日を送るM君は、弁舌爽やかな多趣味の人である。出合った人々と即座に親しくなり、言葉を交わす中から新たな情報を整理・蓄積していく能力は、卒業後に身につけたものだろう。二人とも、充実した“今”を送っていることが窺えた。
そして私である。数ヶ月前に退職して以降、無聊を託ち、道標を見失いかけていた。久しぶりの再会に、今後の社会との関わり方で“何か得るものがあれば・・・”を密かに期待していた。酒を酌み交わしながら想い出話や昨今の世相を肴にした談論風発は、まさに学生時代を彷彿させるものであった。
夫々が夫々の道を歩き続けてきた。これからも夫々の道を歩んでいくことだろう。
それで良い。心の持ち方一つで人生の彩りは全く異なったものとなる。そう。サムエル・ウルマンの詩の一節〔青春とは人生のある期間ではなく心の持ち方を言う〕にあるように。
親友二人が私に、これからの新たな社会との関わり方を教示してくれた。楽しい晩秋の旅であった。