「 雲 」
甲斐 歩(ペンネーム)
朝な夕なに空を見るのが習慣になって久しくなります。甲府盆地の山並みと空は、四季折々に素敵な表情を楽しませてくれます。
特に、9月から11月にかけての錦繍の頃の雲は、巨大なスクリーンに多種多様なテクニックを駆使して、ある時は空全体に、またある時は部分的にと、さながら変幻アートでも見せられているようです。そのように自在な姿を見せてくれる雲ですが、種類は10種類と意外と少ないのです。地表から13000メートル位に発生する雲は、高さ別に上層、中層、下層雲に、更に形で層雲と積雲に分けられます。気流や気圧、温度の変化と連動して、刻々と変化する雲は、眺めていても飽きることがありません。
今頃の季節の代表雲は、上層に出来る、すじ雲、うろこ雲、いわし雲、さば雲、かすみ雲などの名前で親しまれている、卷雲、
卷積雲、卷層雲の仲間です。また中層に発生する、ひつじ雲やおぼろ雲と呼ばれている雲は、高積雲、高層雲の仲間です。少し前の9月から10月ころは、あま雲と呼ばれている乱層雲が良く見られました。
一年を通して良く発生する雲は、くもり雲、まだら雲の名前で呼ばれている層積雲のほかに、歌詞にも登場する「ぽっかり浮かんだ白い雲」の積雲が挙げられます。
そして何と言っても今年、多くの被害をもたらした入道雲の名前で馴染みの積乱雲です。積乱雲は発達すると10000メートルくらいの高さにまでなり、雷や土砂降りの雨、雹、竜巻・突風などを引き起こす雲なのです。また、一番低い所に発生して、低い山などを覆い尽くす山霧のような雲は、分類上は層雲の仲間です。
大雑把には以上ですが、見え方でレンズ雲や傘雲、吊るし雲、波状雲、乳房雲、ハチの巣状雲など山梨は雲の宝庫です。忙中に、フーッと息抜きをかねて、空を仰いで「癒し雲」をご覧下さい。