第 3372 号2013.09.08
「 彼岸花 」
宗か(ペンネーム)
散歩の道すがら、墓地に咲いていた彼岸花。そのまあ凛とした姿の美しいこと。「あら!この彼岸花まるで二本揃えて植えたみたい」一緒に歩いていた夫が そうだねー きれいだねー とすぐうれしい返事をしてくれた。「あれ、変った」今までは「この花きれいですね」「明日の天気だいじょうぶかねー」ゴルフの心配のため……そんな会話だったのに、それになれていたのに。
二人合わせて150歳にもなろうとするまでいっしょに歩いてきたという事は老妻のよろこぶ返事を学習したにちがいないとうれしかった。現役を引き6ヶ月になった夫、一日の課題を時間割のように決めてそれはしっかりと実行している。今日一日を大切に真剣に過ごしている。私はただただ敬服している。が、ときどき不思議な気持ちもわいてくる。
でもまあいいか今の健康に感謝して又めぐり来る桜の花や彼岸花との出合いをたのしみに きれいだねー そうだねー そんな素敵な会話がしたいから自分の役、朝、昼、晩の食事の支度に精を出している。