「 幸せの鍵 」
浅木 真弓(小平市)
昨今、単身世帯の増加・未婚化・晩婚化が進んでいると聞く。
幸せはそれぞれであるが、誰かと暮らしたり、家庭を築くことは想像以上に人生を豊かにしてくれる面白いものなのではないだろうか。
私達はマイホームを購入するとほぼ同時にゴールデンレトリバーという大型犬を飼うことにした。夫の予てからの夢であった。
私は動物を飼った経験がなく、恐怖心さえ持っていた。夫は私をその気にするため、色々な犬種と触れ合える施設に連れ出したり、ペットショップを回ったりして慣れさせ、あっという間にはながウチに来ることが決まった。
はなが来てから生活は一変した。新居の一室ははな用に充て、初めての車もはなのゲージが載せられることを基準に選んだ。海外旅行は控え、遠方の実家ははなを連れて車で帰省するようになった。我慢することが増えたが、気にならないくらいかわいい。
また、ドッグランやドッグカフェに出入りするようになり、人間の家族同様に慈しみ、一緒に楽しみ、更にはペット同伴可能なペンションや動物関連のショップを始めた人々にも出会った。
全く新しい世界だ。末っ子の私は誰かの面倒をみたり、愛情を注ぐことが得意ではない。そんな私が写真を見せながらはなの話ばかりをする姿に周囲は驚いたが、その変化に一番驚いているのは私自身である。幸せの鍵は「ひっかかり」を大切にすること、というようなコラムを読んだことがある。出会いやきっかけを見逃さないことが幸せを導く鍵だと解釈した。夫の影響やはなの存在が、予想外に私の人生を豊かなものにしてくれたことに心から感謝している。そして、興味のないことでも柔軟に取り入れようと自分を戒めることになった。
実は、もうすぐ子供が生まれる。甘えん坊のはながどんな反応をするのか少々心配ではあるが、また新たな世界や自分を発見できることに大きな期待を寄せている。