第 3351 号2013.04.14
「 私の名前 」
北崎 理子(茅ヶ崎市)
我が子に名前をつけるのは、嬉しい反面むずかしい。あれこれ考え過ぎてしまうようだ。
お馴染の寿限無寿限無五劫のすり切れ~、長久命の長助さんは現在だったら、家庭裁判所に戸籍名の変更申し立てをしただろう。二○一○年のことだが、全国の家庭裁判所で新たに受理された、戸籍名の変更申し立ては七二八九件あったそうだ。
「エッ、この漢字でこう読ませるの」という子どもの名前が最近は増えて、幼稚園や小学校の先生は新学期を迎える四月は名前を間違えて記したり、覚えたりしないように二度、三度と保護者に確認し、漢字や読み仮名を点検する作業に追われるという。
そう言われると私は身がすくむ、私の名前も理子と書いて「まさこ」と読む。初めからすんなり読んでくれる人はいない。「さとこ」と読まれたりするが、もう慣れっこで訂正はしない。電話の場合だと、「理科の理と子どもの子でまさこと読みます」と伝える。一拍おいて、相手は「理科の理ですね」と念を押す。
他人に言われると、なぜか私の名前はつまらない名前だと思う。
何も理科という語を使わなくてもいいのだが、道理の理、真理の理ではおこがましい気がする。また、理屈や理由の理だと偏屈な人間を想像されそうだ。実際にそうだとしても……。
少し前になるが、理子という名前が突然クローズアップされた。
俳優の石田純一さんとゴルファーの東尾理子さんが結婚されて、スポーツ新聞などに大きく理子という名前が載り、なんだかドキッとさせられた。私も素直に理子と名のりたいと思った。
だが、あちらは若くて可愛らしく、リコという呼び名がお似合いである。こちらはもう七十歳過ぎ、リコという呼び名に替えたとしても、誰が呼んでくれるのだろう。これからはせいぜい、病院の受付で呼ばれるだけかな?