第 3338 号2013.01.13
「 女偏に石 」
仲途 帆波(ペンネーム)
かれこれ10年前にリタイアしてから、ごく平均的な会社人間から様変わりした。
予想どおりだったことと意外な展開を、半々といったところだろうか。
一方妻は“濡れ落ち葉”を心配していたので、私が素早く地元社会に溶け込みいろんな趣味の会に入ったことが、とても予想外だったらしい。
音楽関連が3、文章関係が2、他も併せて計8グループに入り活動している。
こうした会は大体女性優位で、電話やメールがよく入ってくる。たまには飲み会や小旅行もある。こんなとき妻の対応が悪いわけではないが、いまいち釈然としない。先にメールを読んで「X日は飲み会でしょう」と皮肉を言ったりする。旅行前は何となく機嫌が悪い。いまさら妬いているとは思えないのだが……。
妬くは女偏に石、そう思いこんだら石のように堅いという意味だろうか。
女性を射止める条件として、有名なことわざがある。
「一押し、二金、三姿……三男ともいう」
また女性にもてる男は実にマメである。どんなに忙しくてもヒマを作り出すのがうまい。私自身にこの条件を当てはめてみよう。
一押し。映画「風と共に去りぬ」の例を挙げるまでもなく、これは真理なのかもしれない。私自身は若いときから、押しは弱い方だったから平均点以下。
二金。食うや食わずの貧乏ではなかったが、今でも余裕のある方ではない。
三姿。男前には自他ともに、全く自信がない。
そんな私を妬くとは、女房の心理が不可解としか言いようがない。江戸時代から言われているではないが、「女房妬くほど亭主もてず」って。
石橋を叩いても渡らなかった私に、ぴったりのことわざが英国にあった。
Faint heart never won fair lady(臆病では決して美女は得られない)