第 3292 号2012.02.26
「 同窓会 」
加藤 智子(文京区)
心の柔らかな人生の輝く季節を
大自然に抱かれて
日々を重ねた少女たちは
いつしか人生の後半期の入り口に立ち
様々な苦悩を心の奥に秘めながら
笑う 笑う
あの頃の少女のままに
笑う 笑う
全てをその色に変えてしまわんばかりの勢いの 茶畑の新緑 山々の稜線を黒々と際立たせる 燃えるような夕焼け 心の困惑を映し出すかのような 一寸先も見えない濃霧
凛々しく雄雄しく聳え立つ真白き富士
学び舎の自然が育んだ温かな心が
一瞬のうちに溶け合って
笑う 笑う
夫夫の日常の戦いの場へ散っていかざるをえない現実の中で 攻撃も防御も必要のない一瞬を
自然のままに
心和らぐこの限りある一時を
思いの丈 楽しもうと
日々の生活の疲れや不安 老いへの恐れを 払拭するかのように
30年前の少女たちは
笑う 笑う
神様 この屈託のない少女に戻った素敵なレディたちの日常に息吹を 光を お与え下さい
この一瞬の心の安らぎ 幸せの余韻を
1秒でも 長持ちさせて下さいますように