第 3287 号2012.01.22
「 一期一ゴ 」
仲途 帆波(ペンネーム)
“きたさん”が、ゴルフを止めたという話が飛びこんできた。ある程度予想はしていたものの、来るものが来たという感じでショックだった。
きたさんとは年齢も同じで、長年にわたるゴルフ仲間である。
それも百パーセント、ゴルフだけの付き合いである。
私は所属しているゴルフクラブで、4年前までハンディキャップ委員を務めていた。きたさんは私より少し後にハンディ委員に就任、同じ委員としてクラブ運営に関わってきた。腕はクラブ代表に選ばれたこともあったくらいで、私は何かとアドバイスを受けていた。温厚な人柄でキャディーの人気も高かった。ところが5年ほど前に、きたさんは脳梗塞を患った。幸い大事に至らなかったが、練習場へも行かなくなりスコアも悪くなって、ゴルフへの熱というか関心を徐々に失っていった気がする。
そして4年前、委員の任期満了を機に気楽にゴルフを楽しもうと、退任した4人でOB会を作った。きたさんも勿論入り、真夏と真冬を除き毎月プレーした。
日記で調べてみると、OB会は4年間で22回ラウンドしている。最後が昨年の11月4日だった。
きたさんからゴルフを引けば何が残る?と言われたほどの人だから、もう多分会うこともないだろう。実に淋しい。好漢のご多幸とご健勝を祈るのみである。
「一期一会」は、幕末の大老井伊直弼が『茶湯一会集』に引用したことから有名になった。今思えばあの日が、“きたさん”との最後のゴルフになった。
私も若くはないのだし、今日のプレイがこの仲間との最後のゴルフになる、という思いで、今後は心して臨もう。タイトル「一期一ゴ」の意味である。