第 3279 号2011.11.27
「 同窓会 」
高崎 京子(世田谷区)
高校時代の友人から、恩師が病気から一時回復されたから、一度先生を囲んでみんなで集まろうと連絡が入った。
故郷から離れて暮らしている私は、両親の顔を見には帰省しても同窓会に出席したことがなかった。
現在の生活を生きることで手いっぱいで、「同窓会」というものに興味がなかったのかもしれない。
だから、この報せに戸惑い、と言って、これが先生にお会いする最後の機会かもしれないと思うと、欠席する勇気もなく・・出席の返事をした。
当日、会場のある駅に降りた私は、今まで思い出すこともなかった先生や友人の顔が次々と浮かんできて、いつのまにか速足になっていた。
と、ホームの鏡に映る自分の姿が目に入った。
この私は、みんなが知っている、苦労を知らずに笑っていた高校生の私ではない・・
その思いは、私の足を止め、化粧室へといざなった。
化粧室の鏡の中の自分を何度も見て、口紅を塗り直してみたりする。
でも、どんなに隠してみても、年月は必ずどこかに潜んでいるのだから、ふとした瞬間に姿を見せるだろう・・
あきらめて、少し緊張した面持ちで改札に向かった私は、名前を呼ばれて振り返った。
そこには、懐かしい面影の上に、彼女が重ねてきた人生を刻んだ、顔があった。
暖かいものがこみ上げてくる。
ただ、お互い、元気で再会できたことを喜ぶだけでいい・・
私は彼女に向かって走って行った。