「 とにかくやってみた結果 」
アクアマリン(ペンネーム)
「あなたの手料理が食べたいわ」笑顔で言う義母。引きつる私。
去年、結婚してまもなくのことだった。自宅に客を招くことの多かった義母は、中華、和食、フレンチなど何でもござれのプロ級の腕前。一方の私は、就職して以来残業が多かったこともあり、料理はほとんどしてこなかった。「この料理下手な私が、あのお義母さんに手料理を振舞うなんて!どうしよう!」と慌てふためいた。
それから私の料理修行が始まった。結婚前に練習しておかなかったのを痛烈に悔やみつつ、レシピ本を見ながら必死で作りまくった。しかしレシピ通りに作っても、味が薄かったり野菜が生煮えだったり、ちっともおいしく出来ない。夫は毎晩失敗作を食することになり、申し訳なさが募る。それでもおいしそうなレシピを日々インターネットで検索し作り続けた結果、ようやく自分に合う、分かり易いレシピサイトを発見した。
「よし、ここのおもてなしレシピを片っ端から試してみよう!」と、これまで食べたことの無い食材・調味料などにも挑戦している内に、徐々にコツもつかめてきた。勉強やスポーツと同じで、分かれば出来る、出来れば楽しい。食わず嫌いだった食材も自分で料理して食べてみると「こんなに美味しかったんだ!」と新鮮な感動があった。
そして6月。義父の誕生日と父の日のお祝いを兼ねて、義両親と義弟夫妻を招待してささやかな食事会を開いた。自分では大分進歩したつもりでも、結局大した料理は作れなかった。しかし、皆で集まりお酒を飲みつつ楽しい時間を過ごすことができ、皆さんからは美味しいというお言葉とたくさんの笑顔を頂いた。
こんなに喜んでもらえて良かった、と喜びで胸いっぱいになった。苦手だからと敬遠していた料理を、楽しいものに変えてくれた義母には本当に感謝している。
今年ももうすぐ父の日がやって来る。今年はもっとグレードアップして、イタリアンやフレンチにも挑戦したいな。夢は膨らむ。